愛毒が溶けたら
だけど、救急車よりも先に。
この場に到着した、新たな人物がいた。

それは――


「君が、勇運くんかな?」

「え……」


黒のスーツに、ブラウンのコートを着た人。

見た目的に、もしかして……


「初めまして。冬音の父です」

「あ……」


やっぱり、そうだと思った。消去法で「三石の父だ」と分かったのもあるけど……。この人の柔らかそうな笑顔が、どことなく三石に似ている。だから直感的に「父親」だと分かった。


「あの俺……」


すみませんでした、と言おうとした。

だけど、その前に。
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