お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
両親の間に、一人の子供が立っている。幼稚園児くらいか、まだ幼い。その幼い顔は顔面蒼白で……年相応のツラではなかった。

そして、なぜか子供の両親も、この世の物とは思えないくらい切羽詰まった顔をしていた。



だけど……何よりも驚いたのは、母さんの顔だ。



そいつらを見る母さんの顔は、まるでノリを顔にぬりたくったように。チグハグに曲がったまま、固まっていた。

怒りたいのに怒れないような、泣きたいのに泣けないような――



「母さん……?」

「……」



全ての感情をコントロールできない母さんは、のろのろと玄関に出て来た俺と兄貴に、初めて怒号を飛ばした。



「あなた達は……部屋へ」

「でも、」

「いいから! 早く行きなさい!!」

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