愛毒が溶けたら
ふわりと、私の体に巻き付く「何か」。

それは、フカフカで柔らかな、ブランケットだった。



「顔を上げて。大丈夫、警察だよ」

「……あ」



恐る恐る目を開けると、成希と話していたお巡りさんがいた。

大人の人で、スラリ高い背を、今は私に合わせてしゃがんでくれている。



「怖かったね。よく一人で我慢した」

「……っ、うぅ」



小雨になっていた涙が、再び、本降りになる。

とめどなく流れるソレは、冬の寒空に強く堪えた。



これは、自分への罰だ。



成希を「危ない人」と分かっていたのに、勇気が持てず、離れることが出来なかった。


その場しのぎのウソを重ね、自分の本音に蓋をし続け、成希も自分をも騙してきた。


見て見ぬふりを繰り返したから、今日、天罰が下った。



「全部、私のせいなんです……っ」

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