お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
目を見開いた俺と、おじさんは目を合わせたまま。逸らそうとせず、むしろ逸らすことを許そうとせず……。

二人、長い間視線を交わし続けた。それは、俺に尋ねているようだった。



お前に、冬音を守る覚悟はあるのか――と。



「俺は……」



不安に揺れた瞳を、おじさんは見逃さなかった。

けど、すぐに俺を「この子はダメだ」と切り捨てる事もしなかった。ゴール手前でさ迷う俺の背中に、そっと手をあてる。



「お父さんを失くすというのは、大変な事だ。そんな中、君は自分の弱さを認めながら、冬音の身を案じてくれた。それはね、決して簡単な事じゃないよ。むしろ強くないと出来ないことだ。

子を持つ父親の立場で言わせてもらう。お父さんは、今の君の姿を見て、充分に成長を感じているはずだよ。君は立派で、強い子だ」

「っ!」
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