お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
ここは個室。

三石と俺以外、誰もいない。そして三石本人は寝ている――「……ごほん」この状況から気を逸らすように、俺は三石に背を向け、窓の外へ目をやった。



「”彼氏”……ね」



さっき受付の人は、俺の事をそう呼んだ。しかし残念だが、これから先、俺が三石の彼氏になる事もなければ、その見込みもない。

なぜなら、



――すごく危険な仕事。だけど、カッコイイね
――私がお兄さんを気になってるって、バレてる?



三石が想っているのは兄貴であって、俺じゃないんだ。



「……”あの日”、」



兄貴よりも先に、俺が三石を助けて居たら。三石の俺を見る目は、変わったんだろうか。

「ただの同級生」じゃなくて「好きな人」へ――





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