お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

辺りが暗くなり、人の目が気にならない時間帯。元彼は、三石とキスしていた。帰り道での事だった。

見てしまった俺が悪い……と思いつつ、なぜか頻繁に遭遇してしまう自分の不運を呪った。


しかも俺が目にする時。

三石は常に嫌がった表情をしていて……三石は、本当はキスを拒みたいのだと察した。


だけど――


そのうち自分で逃げるんじゃないのか、
そのうち別れて離れるんじゃないのか、なんて。そんな事を思って、介入しなかった。



しかし待てど暮らせど、三石は行動に移さなかった。

だから、大きなハチが教室に現れた日。俺は、あぁ言ったんだ。



――早く逃げろよ
――お前、危ないぞ
――これ以上、刺されんなよ



それでも三石は逃げなかった。あの男から、彼氏から。
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