お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
――カップル! 俺らカップルだ!
――な、冬音!



「……っ!」


成希の声を、頭から消す。



私は、さっきまでの無力な私じゃない。ちゃんと立ち向かえるって、さっき分かったんだ。


だから、言うんだ。


私の口から、私の、本音を――



「私たちは……、付き合ってます。
だけど、本当は――

もうずっと、別れたかった……っ!」



口にした瞬間、まるで蓄積された悲しみの栓がとれたように。

「うわーん」と、小さな子みたいに、大きな声をあげて泣いた。


ひっく、ひっくと、しゃくりあげて泣く私。

そんな私の背中を、お巡りさんがポンポンと優しく撫でる。



「辛かったね。もう大丈夫だからね」

「うぅ……っ」



お巡りさんの温かい手のひらを感じながら、涙を流す。



十二月の夜。



寒いはずなのに、足元から、体がポカポカと温まっていく。

それは、きっとブランケットのおかげではなく――


ずっと奪われていた感情が私に戻って来たのだと。そんな事を思った。
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