お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
ギシッ


パイプの軋む音が、静寂な部屋に響く。

病院の廊下には、ナースコールや看護師がワゴンを押すコマの音で溢れている。それらの音に助けられながら、俺は震える口を開けた。



「三石。体は、もう大丈夫か?」

「うん、どこも異常なしだよ。ありがとう」

「そうか、良かった」



教室ではない、どこか非日常的な場所。

心臓がうるさく唸るのは、慣れない状況に身を置いているせいにして……。俺は真正面から、三石と向き合った。



「あのさ……三石が俺に”助けて”って言った時。俺、言っちゃっただろ」



――こういう時に兄貴に頼らなくて、どうすんだよ



俺の言葉に、三石は頷く。

その時、三石の髪がサラリと顔にかかった。俺はそれをどかしながら……三石の白い頬を、手のひらで覆う。
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