愛毒が溶けたら
「勇運くんが強いのは知ってる。強くなったって、分かってる。だから……ううん。だからこそ、もう私とは関わらない方がいい。

勇運くんには、いつも自由でいてほしいから」



しがらみのない世界で、ふとした事で心が暗くなってしまわない世界で――自由に生きてほしい。だから、子供嫌いな勇運くんの隣に、私はいられない。


一緒には、いられない。



「ごめんね」

「……」



私が喋ってる間、勇運くんは一言も話さなかった。そして、私が喋り終わった後も、しばらく口を閉ざしたまま。


あぁ、これで勇運くんとの関係は終わるんだって。ずっと甘えちゃってごめんね。今まで何度も助けてくれてありがとうって――そんな事を思っていた。


その時だった。
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