愛毒が溶けたら
半年間、心にもない言葉ばかりを浴びせられた。

それでもニコニコ笑って受け流していると、気づいた時には、自分の心は目も当てられないくらい傷ついていた。


穴が開いて今にもしぼみそうな風船を「どこから空気が漏れてるんだろう」って、無意味に探し続けていた。鋭い針を持ち私を攻撃する人は、すぐ隣にいたというのに。



――もう刺されんなよ



ねぇ勇運くん、あの言葉を聞いた時。

私は、傷ついた私を見てみぬふりをしたんだよ。


成希がハチだと分かっていたのに、叩けないでいた。だけど、代わりに勇運くんが叩いてくれた。あの日、教室でハチを仕留めたように。勇運くんは、何度も私を助けてくれたんだ。
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