お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「だから、困った事や悩みがあれば、いつでも連絡して……って。パパが言ってたわ」

「おじさんが……」

「図々しくてごめんね、見た目に寄らず熱い人なの」



困ったように笑うお母さんを見て――勇運くんは、潤んだ瞳を隠すように、くしゃりと笑った。同時に、頭の中で過去の私を思い出す。



――私、悔しい

――ちがうって、どういう事? 教えてよ、勇運くん

――勇運くんと、話したかった



「見た目に寄らず熱い……か。親子でよく似てますね」

「ふふ、そうでしょ? 冬音も静かに見えて、実はそうじゃない一面もあるから」



だから勇運くんに苦労かけるかもしれないわね――なんて。真剣な声色で言われ、思わず勇運くんは吹き出した。
< 229 / 398 >

この作品をシェア

pagetop