お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「お、お願いしても、いいですか……?」
「ふっ、もちろん」
女子が見ればとろけるだろう笑みで、勇運くんは二つ返事でOKしてくれた。その笑顔に魅入りながら……私の目は、唇へと目が行く。
――~っ、や……悪い。ちょっと近づいただけで、本当にするつもりは、
ふとした時に思い出す。
勇運くんと、キスした日のことを。
「どうした、冬音」
「な、なんでもない……っ」
病院の日から、キスの話が勇運くんから出ることはない。
むしろ平然としていて……あっけらかんとした態度で、当たり前のように私のことを「冬音」って名前で呼ぶ。
勇運くんが私に告白してくれたのは夢だったかな?って。そんな錯覚を起こすくらい、勇運くんは今まで通り勇運くんだった。