お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
『さっきは、恥ずかしい事を言ってしまって、その……すみません』

『ううん、僕こそ。いい歳をした大人が、女子高生の言葉で喜んじゃって、スミマセン……』


ポリポリと、頬をかくお巡りさん。

その姿は、いい意味で「大人」には見えなかった。


――安心して。守るから


急に。頭の中で、お巡りさんの言葉がクルクル回る。

すると、なんだか体の内側が、ポカポカと温かくなってきた。


『じゃあ、保護者の方に連絡をいれようか。番号わかる?』

『あ、はい……』

『顔が真っ赤だけど、どうしたの?』

『き、気にしないでください……っ』


そんなこんなで。


書類に記入していると、お父さんが迎えに来てくれ、私は家に帰る事が出来た。

全ての事情を聞いたお父さんが、お巡りさんに何度もお礼を言った。

ありがとうございます、と。
何度も、何度も。

お父さんの姿を見て、お巡りさんは笑みを浮かべていた。


だけど――

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