お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「冬音ちゃん~! 見て見てー、これ!」
「え、わ! 猫耳のカチューシャ!」
私服姿の守人さんが、猫耳のカチューシャをつけてはしゃいでいる。
ただでさえ背が高いのに、カチューシャ分もっと高くなったから、皆から注目されている。顔もウルトラカッコイイものだから、周りの女子は目をハートにして、守人さんを見ていた。
「守人さん、目立ってます……っ」
このままでは守人さんを、誰かの女子にとられちゃう気がして。
私は必死に、守人さんにクールダウンするよう「シー」と言った。だけど、そんな必死な私に、守人さんは……
ポスン
「はい、これ。カチューシャ!」
「猫耳……守人さんとお揃い。可愛い……っ」
だけど「あ、お金」と。
慌ててカバンに掛けようとした手を、守人さんはキュッと握って阻止した。