愛毒が溶けたら

「いいんだよ。だって、今日は僕が来たくて来たんだから。冬音ちゃんは、わざわざ僕に付き合ってくれてる。でしょ?」

「でも、ここまでの交通費も何もかもお任せでは……」

「いいんだよ。こういうのはさ、はしゃいでこそなんだから。せっかく来たんだから、一緒に楽しもうよ。冬音ちゃんが楽しんでくれた方が、僕は嬉しいんだよ?」

「!」



まるで周りを気にしていた私に、気付いていたかのように。守人さんは、目を細めて私を見た。

お言葉に甘えていいんだろうか。でも……。



「冬音ちゃん」

「は、はいっ」



悩む私に、守人さんが目線を合わせる。

そして……

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