お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

今まで”座っているところを起こしてもらう”とか……。そういう接触はあったものの、ずーっと手を握った事はない。


だから……は、恥ずかしいよっ。

私、そうとう汗かいてるし……!



「~っ」

「冬音ちゃん?」



不思議そうに私を見る守人さん。

もう……あなたのせいで、こんなに心臓ドキドキ鳴ってるんですよ――と声を大にして言えたら、どんなにいい事か。

だけど、



「……よしっ」



今日は楽しむって決めたから。
今日ははしゃぐって決めたから。

私が「やってみたい」と思ったことを、やってみればいいんだ。


ぎゅッ



「!」

「手、つなぎました……。これで、いいですかっ?」

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