お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する


「しゅ、守人さん……あの、さっきのは……っ」



何を言えばいいか分からないまま、汗をたらりと流しながら。

ワタワタ慌てるしか出来ない私を見て、守人さんは……「ふっ」と。目じりを下げて笑った。



「冬音ちゃん」

「は、はいっ」



次に、ポンと。頭の上に手が乗る。熱すぎる体温が、じわじわと頭から降り注いだ。

だけど、次に聞く言葉は――

私が冷静になるには、充分なもので、



「大人をからかっちゃダメだよ」

「え……」



まるで頭から冷や水をかけられたように。

私の体温が、サーっと下がっていくのが分かった。

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