お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

その原因が、守人さんの話し方にあると。観覧車を降りてから、やっと気づいた。



「ま、待ってください。守人さんっ!」

「ん、手を繋ぐ?」

「っ!」



そうだよ……。思えば、今日はどうして手を繋いでくれたの? 一日中。あんなに、しっかりと握ってくれてた守人さん。

その理由って……



「迷子にならないように。ほら、人も多いしね」

「~っ」



そうか、守人さんにとって私は、まだまだ子供で。

全く、女の子として見られてないんだ。つまり、恋愛対象外。



「手は、もう……繋ぎません」

「……うん。それがいいよ」



ふっと、守人さんの顔に影が落ちる。

私をチラリと横目で見た後、自分の手を広げて……そして、静かに閉じた。
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