お巡りさんな彼と､その弟は､彼女を(密かに)溺愛する

「これからは勇運に握ってもらいなね」

「勇運くん……？」

「勇運は強くなったよ。冬音ちゃんを守れるくらいに、強い男になった。きっと、まだまだこれから強くなる。それは、兄である僕が保証する」

「どうして……」



ねぇ守人さん。

どうして、さっきから私に勇運くんを勧めてくるの？


守人さんが私の事を好きじゃないのは仕方ないにしても……だけど、守人さんが私に勇運くんを勧めるのは、違うでしょ？



「それ、やめてください……」

「ん？」

「勇運くんを勧めるのは……。勇運くんの魅力は、私もよく分かってます。だから、」



私が勇運くんを好きになるかどうか。それは、私が決めること――



「守人さんを想う私の気持ちを、まるでなかった事みたいにされるのは……悲しいです」

「……うん。ごめんね」