お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

守人さんは、ただ一言。そう言って謝った。

守人さんは、優しい。いつも自分以外の誰かのことを考えられる人。だけど……今は、その優しさが、残酷で、苦しい。



「ここからは……一人で帰れます」

「ううん。送るよ。冬音ちゃんのお母さんにも、そう伝えたしね」

「……っ」



そうやって、子供扱いして。義務感で、私の隣にい続ける。



守人さんは、やっぱり残酷だ――





そして、電車に揺られること三十分。


この時間がとてつもなく長く、永遠のように思えた。だけど、やっぱり終わってほしくないと思う気持ちも強くあって。



「次は陽の丘駅、日の丘駅~」

「……」



ギュッ


降車駅のアナウンスが流れた時は、もらったウサギを、思わず強く握った。
< 305 / 398 >

この作品をシェア

pagetop