お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「なんなんだ? 変な兄貴だな。な、冬音」

「……」

「冬音?」



聞こえてないだろうと思って、守人さんに「好き」と伝えた。だけど守人さんは「本当に好きなのは勇運でしょ?」と。私の守人さんに対する「好き」は間違ってると、そう返した。


本当に、そうなのかな。


私が勇運くんを好きだから、キスされても嫌じゃなくて。私が勇運くんを好きだから、とっさに思いついた名前も勇運くんだったのかな。


だとしたら、私……



「最低なことをしちゃった」

「最低なこと?」

「……っ」



でも、でもね守人さん。

私の中に小さく淡く光る感情が、確かに存在したんだよ。懐中電灯に照らされた、あの時から。静かに温め続けてたんだよ。

だから、否定しないでほしかった。
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