お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
私にできること
数日間。
私はもぬけの殻のような状態で過ごし、実際に、もぬけの殻の状態で、交番の前を登下校で通った。
その時に、守人さんと出会うことは多々あった。だけど、ふぬけた私とは反対に、守人さんはやっぱり大人で……。
「いってらっしゃい、冬音ちゃん」
と、笑顔で送り出してくれるのだ。
もちろん、それに対してぎこちなくしか返事が出来なかった私。
「い、いってきます……」
視線を下げながら、俯きながら。
守人さんと目を合わせることなく、一瞬の会話を終わらせる日々が続いた。
もちろん。私の家庭教師を継続中の勇運くんは、何度もこの光景を目にした。
だけど「何があったんだよ」とは言わず、黙って見守ってくれている。