愛毒が溶けたら

「ねーちゃん、交番……壊れてる……!」

「……っ⁉」



よく見ると、落ちて来た看板は、交番にもたれかかるように倒れている。

それにより交番の入り口は潰れ、がれきの山を作っていた。看板がいかに大きく、重たい物であったか――それを物語るには、充分すぎる光景だった。



「しゅ、守人さん……! 柴さん!」



二人は、入口の近くにいたんじゃなかったっけ?

あの時、二人は何をしていたっけ?

何で誰の声も聞こえないの?

どうしたらいいの、どうしたら――!



その時だった。



ガシャン、と。

ガラスが割れる音が響く。


見ると、腕や顔に切り傷を作り、血を流している守人さんと柴さんの姿。

手には警棒を持っており、その棒で、どうやら交番の内側からガラスを割って、脱出したらしかった。
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