愛毒が溶けたら

「守人さん……」

「……っ」

「守人さん……‼」



私の声が消えたあと。守人さんは、急に立ちあがる。

だけど、それは守人さんの意志によるものではなく。無線で通信を終えた柴さんが、守人さんの胸倉をつかみ、無理やり立たせていた。


グイッ



「しっかりなさい、一葉」

「……っ」

「一葉!!!!」



柴さんの、初めて聞く怒声。


その声を聞いて、守人さんの目に、光が戻って来る。だけど、その間も柴さんは、守人さんの胸倉をつかみ続けた。

守人さんが自身の力で立つその時まで、自分が支えるのだと。そう言わんばかりに、柴さんの腕に力が入り続ける。
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