愛毒が溶けたら

「これから、すぐに応援が来ます。それを待つ間、あなたがすることは分かってますね?」

「現場の安全確保……、と、ケガ人の救護……」

「私は近隣住民を避難させます。あなたは近づける範囲で構わないので、ケガの把握を」

「了解っ……!」



ビシッと敬礼した後。

交番の中から脱出する際に持って出たであろうヘルメットをかぶり、守人さんは看板へと近づいた。


その背中を見届けた柴さんは間髪入れず警笛を取り出す。

そして普段の柴さんからは想像も出来ない大きな声で「退避!退避ー!」と、野次馬たちを後退させた。


もちろん、後ろから走って来たお母さんたちも顔面蒼白だった。

お母さんは無傷の夏海を見て泣いたが、お友達のお母さんは、わが子の姿が見当たらずパニックになっていた。
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