お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「ママ、連くんを信じてあげてください……。お巡りさんが、きっと連くんを助けるから……っ」

「っ! うぅ~、連……っ!」

「私の大切な人も、今、看板の下にいます。絶対に、今、二人は頑張ってる。

だから泣くんじゃなくて、応援してあげてください……そして信じて。絶対に、大丈夫だって……っ」



その時、連くんのママは「う~っ」と、嗚咽を漏らしながらグシャリと崩れ落ちた。すると私のお母さんが、連くんママの肩をそっと抱き寄せ、一緒に涙している。

夏海も「連くんがんばれ」と。泣きながら、両手を握りしめ祈っていた。



「勇運くん、守人さん……私、待ってる。ずっと待ってる。だから、無事に出てきて……っ」



その時。

群がる群衆の中から、応援のお巡りさん達がやって来る。救急車も消防車も揃い、救出準備が整ってきた。


私は、その光景を見ながら「絶対、大丈夫」と。自身に言い聞かせるように、その場にいる人たちを励まし続けた。


自分が言った言葉の通り、二人が笑顔でやって来るのだと。そう心から信じて――


< 329 / 398 >

この作品をシェア

pagetop