お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「なぁ兄貴。もう隠し事はナシにしようぜ」

「だから、なにを、」

「本当は……子供が嫌いなんだろ?」

「!」



ピクリと、腕が跳ねて、そして止まった兄貴を見て。俺は「図星か」と、また笑う。



「冬音の父親が、兄貴のツラを見て、俺と同じだと言った。子供を恨む俺と、同じ表情だと」

「それだけの事で、」

「柴さんからも聞いた。兄貴は子供の事となると、何かと理由をつけては柴さんに案件を任せる傾向があると」

「……」



そう。冬音のお見舞いに行った時。

病室を出たその足で、交番に向かった。そこで柴さんから、全てを聞いたんだ。



――俺は、ずっと勘違いしていたのかもしれない。兄貴のことを

――どうぞ、おかけください?


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