お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「……はい、行ってらっしゃい」
お巡りさんは帽子をキュッと下げ、顔を隠していた。
あぁ、これは……。
きっと私が変な事を言ったから、今度こそ引かれちゃったんだ――と落ち込んだ、その時だった。
私は、気づいてしまう。
お巡りさんの耳が、ほんのり赤く染まっている事に。
「耳……」
「! ほら、早く行きなさい。遅刻はダメだよ?」
「は、はいっ」
耳を指摘されたのが恥ずかしかったのか。お巡りさんは私を見た後、学校を指さす。
そして最後に――
「今度は、こけないようにね」
それだけ言って、敬礼のポーズをしてくれたのだった。