愛毒が溶けたら

その後、守人さんは救急車に乗り、勇運くんと病院へ行った。


私は、守人さんと連絡先を交換していないから……騒ぎが収まった夜も、勇運くんの容態が分からず、ずっとソワソワしていた。


勇運くんは無事なんだろうか。
もう病院から出た?
それとも、どこか悪くて手術とか――



「……うっ」



考えれば考える程怖くなって、思わず目をギュッとつむる。気づけば、自分の手が震え、目に涙が溜まっていた。



「勇運くん……っ」



その時だった。


コンコン、と。私の部屋をノックする音。

私が返事をした後、入って来たのは……お父さん。



「冬音、調子はどうだ」

「……あ、……うん」



実は、家に帰った後。


がれきに突っ込んだ私の無謀な行動に怒ったお母さんが、私の頬をパチンと叩いた。

お母さんに叩かれるなんて初めてだったけど、でも……その時のお母さんを見ると、泣いていて……
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