お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する



――その後。



「ごめんね、急ごう」と、男子に言った後。

男子が前、私が後ろに並び、駆け足で学校へ向かう。

だけど……


ズルッ


「う、わぁ⁉」


バナナの皮ならぬ薄い氷が、まるで罠のように至る所に張り巡らされていた。


ガシッ


「おい、大丈夫かよ」

「あ、ありがとう……」


最初と同じく、またもや男子が助けてくれる。

私の腕を握る男子は、軽々と私を立たせた。そして「ん」と、筋肉質な手を私に伸ばす。


「えと、これは……」

「手、貸せ。二度ある事は三度あるんだよ」

「や、でも……悪いから!」


手をブンブンと振ったけど、男子は諦めてくれなかった。

少し強引に私の手を握り、グイッと前へ引っ張る。
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