お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
あの日の本音
あの事故の日から、一週間が経った。
面会謝絶だった勇運くんは、今日から面会できるとのことで……。
私は、いつか勇運くんがお見舞いにきてくれた日のように。勇運くんが入院する病院へ来ていた。
「えっと……、あった。ここだ」
勇運くんから事前に教えてもらっていた部屋番号。目の前に、同じ数字が並んでいる。
この中に、勇運くんがいる……。
「ふぅ~……、よし」
会うのは、一週間ぶり。ちょっと……いや、かなり緊張する。
だけど、会いたい。
今すぐにでも会いたい。
私は扉をノックし、思い切ってドアを開けた。
ガラッ
だけど、勇運くんの姿は部屋になく。
読みかけの小説だろうか。それが窓際に置かれ、風に舞ったページが、ヒラヒラと観覧車のように回っていき、ページを戻す。
これ、いいのかな?
読みかけだったんじゃ――
と心配した、その時だった。
ふわっ
「やっと会えた」
「っ!」
突然、私の背中から、声が聞こえる。そして、優しく、私を包み込んだ。