お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「長かった。会いたかった、冬音」
「ゆ、勇運くん……っ」
少しだけ振り返ると、入院着に身を包んだ勇運くんがいた。
来る前は、やせてるかな?と心配だったけど、前のまんまの勇運くんで。その左腕には、包帯がグルグル巻かれている。
「冬音、こっち向いて」
「ちょ、ちょっと。勇運くん……っ」
勇運くんは私をクルリと回し、自分と向き合う形にする。勇運くんの腕の中で、見つめ合う私たち。
その近さに、久しぶりということもあって、思わず心臓が飛び出そうになる。
「ま、待って……。あの、もう調子は、」
「ん、全快」
「ウソばっかりっ」
左腕に包帯グルグル巻きながら「全快」だなんて。そんな分かり切ったウソを、堂々とつく勇運くん。
その瞳には私しか映っていなくて、そして……なんだか肉食だ。