愛毒が溶けたら
「勇運くん、勇運くん……っ」
「俺は、ここにいる。冬音のおかげで、ここにいる」
「うん……っ」
ぎゅっと背中に腕を回すと、ちょうど勇運くんの心臓あたりに、私の耳がピタリとつく。
ドクンドクンと、力強く鳴っている心臓の音を聞くと、また涙腺が緩んだ。
すると勇運くんが「冬音」と。私と目を合わせる。
「あの時、そばにいてくれてありがとう、冬音。お前の顔を見た瞬間、意地でも死んでやるかって思ったよ」
「うん、うん……っ」
「俺を守ってくれてありがとう、冬音」
「……うんっ」
勇運くんは、私の目から流れる涙を、丁寧に、一粒ずつ拾ってくれる。
ねぇ勇運くん。私こそ、何度「ありがとう」を伝えても、伝えたりないんだよ。
私を助けてくれてありがとう。数えきれないくらい、救ってくれてありがとう。