愛毒が溶けたら

「ねぇ、勇運くん……っ」

「ん?」



この「ありがとう」って気持ちや、体の内側から爆発しそうな幸せな気持ちは……一体なんなんだろうね。

いや、本当は分かっているんだ。私は、自分の気持ちに、もう気づいてる。


守人さんの事を想った後。すぐに、こんな気持ちを抱いちゃいけないのかもしれない。


だけど、きっと私は、もう――



ガラッ



「はーい、久しぶり。冬音ちゃん」

「しゅ、守人さん⁉」

「……チッ」



シュパッと、抱き合った体を離して、勇運くんと距離をとる。

思わぬ来訪に、勇運くんはあからさまに顔を歪めて舌打ちをした。
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