愛毒が溶けたら

「まぁまぁ、そう怒らないの勇運。調子はどう?」

「どうって、この前も来ただろ。非番の度に来るのやめろ」

「可愛い弟を心配してるんだよー。いつか病院を抜け出すんじゃないかヒヤヒヤしてるって、母さんも言ってるし」

「ただの監視じゃねーか!」



相変わらずの兄弟げんかを、ハハハと苦笑を浮かべて見る私。もちろん、泣いていたのを悟られないように、涙はササッとふき取った。



にしても、この突然の訪問……なんかデジャブ。



そう思っていると、またもやガラッと扉が開く。

入って来たのは、なんと夏海。



「にーちゃん!!」

「おー、夏海。元気だったか?」



夏海の姿を見て、自然と顔が緩む勇運くん。

包帯が目に入ったものの笑みを浮かべる勇運くんを見て、夏海も安心したらしい。鼻の頭を赤くして、ぽろぽろと涙をこぼす。
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