愛毒が溶けたら

「子供だったんだから仕方ないって……私はそう思います」

「仕方ない……?」

「大人の代わりが出来るほど、子供は大人じゃありません。一人の力で困難を乗り越えられるほど、子供は大きな力を持っていないんです。

あの時、守人さんは子供にも関わらず、子供以上の力で勇運くんやお母さんを支えた。それは虚勢なんかじゃなく……守人さんの努力です」



言うと、守人さんは「努力……」と繰り返した。



「守人さん。あなたは今まで、ずっとずっと、皆を守るために頑張り続けていたんですね」

「ッ!」



その時、守人さんの目が見開かれる。

こちらに向けていた体を、少しだけ斜めにずらし。私に顔が見えないように、上手に隠した。
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