お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「名字……は、嫌だしな」

「へ? なんで?」

「なんでって……。ってか、さっきの警官の名前は知ってるのかよ」

「お巡りさんの名前? 知らないけど……」


答えると、男子は「え」と驚いた顔をする。

え、どうして驚くの?


「さっきのお巡りさんと、何か関係があるの?」

「……いや、何でもない」


と言いながら、顔を隠す男子。

あ、コレは……。


「もしかして、笑ってる?」

「笑ってないない」


さっきといい、今といい……。

どうやら男子は、笑みを隠すのが下手らしい。

私にバレるため、わざと下手くそにカモフラージュしてるのかもしれないけど。


「ま、知らないなら好都合だ。俺のことは、ゆう、って呼んで」

「ゆう?」
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