お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「何もクリスマスに来なくったって……」
と、少し不満げな勇運くん。彼としては、もう少しパーッと出来るところが良かったみたい。
だけど、今しかないと思ったの。今、この瞬間に会っておきたいって。
「それに、勇運くんも言ってたでしょ? お墓参りしたいって。お父さんと話したいって」
「う……」
観念したのか、私が座る隣へ、同じようにスッと膝を曲げる勇運くん。
だけど、お父さんへ手を合わせた後……勇運くんは、素早く私へ向き直った。
「冬音」
「待って、もう少し」
「……」
まだ目を瞑ってお父さんとお話ししている私を、勇運くんはしばらく黙って見る。
だけど、あまりにも長すぎたのか……
「時間切れ」
そう言って、私の左手をグイと引っ張った。