お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「最初、冬音への気持ちは、秘密にしようと思ってたんだ。小さな弟がいるお前を、どうしたって好きになれないって……そう思ってたから」
「勇運くん……」
「だけど、俺の止まった時間を、冬音が進めてくれた。冬音がいなければ、俺はまだ過去から動けないでいた。お前が、俺を変えてくれたんだ」
「……っ」
ギュッ
勇運くんは、私の手を握る力を、さらに強めた。
冬の寒さなんて関係なく、沸騰でもしてるかのような。そんな熱を持った、勇運くんの大きな手。
「そんなお前を前に、ずっと気持ちを隠し続けるのは……ムリだった。だから、改めて伝えたい。
冬音の事が好き。
俺と、付き合ってください」
「勇運くん……」
まるでお辞儀をするように、私に向かって目を閉じた勇運くん。少しの時間を置いて、ゆっくりと瞼を開ける。