お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「ったく、油断も隙もないな。って事だから、卒業と同時に結婚するぞ、冬音」
「え!」
「じゃないと悪い虫がつくだろ、善は急げだ。今から式場の下見に行こう」
「えぇ~⁉」
そんな事を言ってしまう勇運くんに驚きつつも。だけど、心は踊っていて。
「ど、ドレスは……白色がいいです」
「……」
と、さりげなくリクエストを要求する私。
「あと、フワフワなやつ……ッ」
「~っ、はは!」
すると勇運くんは盛大に吹き出して「やっぱりはしゃぐ冬音はいいな」と大きな声で笑った。
「あと、ケーキは五段くらいほしくて……あ、二人お揃いのマグカップも欲しいなっ。
あ、あとはね!」
「……――うん」
子供みたいに頬を赤くして、未来を語る私を見た後。勇運くんは、お父さんのお墓に目をやった。
そして、
「俺が立派な父親になれるか――
また見守ってくれよ、親父」
幸せそうに、微笑むのだった。
【 完 】