お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
うれしい呼び出し





「三石さんって、もっと取っつきにくい人かと思ってたよぉ。いつも静かだからさぁ」

「えと、無事に戻ってこられました……」

「良かったねぇ。で、何から戻ってきたの?」

「あはは……」


教室で、お巡りさんの幻覚を見た後。

私にのど飴をくれた、隣の席の女の子――和気 莉音(わけ りおん)ちゃんと、楽しく話をしていた。


「のど飴、ありがとう。でもね、風邪じゃなくて……」

「そうなの? 良かったね! 受験本番って時に、風邪ひきたくないもんね~」


ニッと笑った莉音ちゃんの、茶色のショートな髪が、サラリと揺れる。小顔だから、とても良く似合ってて……いいなぁ。


「短髪、かぁ……」


すると、ポンと頭に浮かぶのは、お巡りさん。

シューッと、やかんから蒸気が溢れるように。私の顔は、どんどん赤く染まった。
< 42 / 398 >

この作品をシェア

pagetop