お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「う~ん、困ったなぁ。どうしよう」


どうにかしようと、莉音ちゃんが必死に悩んでくれてるのが分かる。

ごめんね莉音ちゃん。決して感染症うんぬんの類ではないから、安心してね……。

そして、私が必死に吐き気を逃がしていた時。この場に、第三の声が響く。


「どした?」

「あ、勇運くん。ちょうどいい所に来てくれた~」


心配した勇運くんが、どうやら話しかけてくれたらしい。

私は体を起こせないまま、二人の会話を頭上で聞く。


「勇運くん、ムキムキでしょ? 何とかして、冬音ちゃんを保健室に連れて行ってあげてよ」

「別に鍛えてないけど?」


またまた~と言いながら、莉音ちゃんは席を立つ。そして「道を開けてー」と、クラスの皆に声を掛けた。

ん?“道を開けて”?
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