お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「……ふふっ」


この交番の中で笑えている――その事が、私の自信へと繋がる。


さっき見た「三石 冬音」の名前のように。

私の背中が、少しだけ。

空に向かって、しゃんと伸びた気がした。





と言っても。


「……」


さっきまで私の傍にいてくれた勇運くんは、今やすごく遠い場所にいる。

腕を組んで、ジッとこちらを見ながら立っていた。


「冬音ちゃん、名前を書きに来てくれたの? 俺が確認ミスしたばかりに……。ごめんね、ありがとう~」

「と、とんでもないですっ」


見つめる先には、笑顔で話す、私とお巡りさん。

すると勇運くんは、


「はぁ……」と。


重く深いため息を、誰にもバレないよう、静かについたのだった。

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