お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する




「何かあったワケ?」

「え……」

「隣で辛気臭いオーラ出してる」

「あ……、ごめん」



現在、放課後。


巨大なハチに刺されず無事だった私は、とある人と帰路を共にしていた。

その時に「何かあったか」と聞かれるワケだけど……。

聞いてきた本人は、一人だけホットドリンクを飲み、ホッと息をついている。



現在、十二月はじめ。



吐いた息が白くなる季節。時おり吹き付ける風は凍てつき、ますます鼻先を赤くさせる。


そんな中。


隣で「あったけ~」と感嘆の声を漏らす人。


私の彼氏――

畑 成希(はた しげき)。
大学二年生で、私より二つ上。



「あ、来月は試験があるから、なかなか会えないの。ごめんね」

「なんで?」

「え、なんでって……」



私は高校三年の受験生。


来月――一月に控えた大きな試験が、どれほど重要か。二年前に経験したこの人なら、それが分かってもいいようなものを。
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