お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「おい三石、外に出るぞ」

「あ、うん……っ」


守人さんの迫力に圧倒された私の腕を引き、勇運くんは外に連れ出してくれた。

そうだよ、ボーッと交番の中にいても邪魔なだけだ……。


私たちが交番を出たと同時に、守人さんが私の前を通る。

腰に巻かれたベルトに付いた、棒に手錠、連絡の絶えない無線機。そして――拳銃。

それが見えた瞬間。私の背中を、一筋の冷や水が通る。


「……っ」

「三石?」


なんだか怖くなって、近くにいた勇運くんの腕をキュッと握る。

驚いて振り返った勇運くんは、私の青くなった顔を見て……腕を振りほどかず、そのままでいてくれた。


バタンッ


先に柴さんがパトカーの助手席に乗り、次に守人さんが運転席に乗ろうとした、

その時だった。
< 74 / 398 >

この作品をシェア

pagetop