お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「勇運! 冬音ちゃんをきちんと家まで送ってあげるんだよ! そして一秒でも早く家に帰ること! 分かったね!」


バタンッ


早口で伝え終わった守人さんは、車のドアを閉めた。その瞬間、赤いサイレンが「ウ~」と唸りを上げ、私たちの前を通り過ぎる。

あ、柴さんが無線で何か喋っている。運転している守人さんも、真剣な顔だ。


「すごく危険な仕事……だけど、カッコイイね」

「……」

「あ……」


口に出した後になって、勇運くんと守人さんが兄弟という事を思い出す。

し、しまった!

これじゃあ、まるで「あなたのお兄さんイイね」って、言ってるようなもんじゃん!


だけど、勇運くんは茶化さなかった。

むしろ私の声が聞こえてなかったのか……パトカーの後ろ姿を、しかめっ面で見ている。
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