お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

私は、三石 冬音(みついし ふゆね)
十七歳の高校三年生。


半年前に、部活で先輩だった成希と偶然に再会し、意気投合した後に付き合うことになった。


高校生だった頃の成希は優しくて、後輩からも慕われる「良い人」だったのに……。

大学生活で何かが変わったらしく、成希の全てが乱暴になっていた。



『ごめん、少し遅れちゃった』



付き合い始めて、しばらくたった頃。デートの待ち合わせに十分ほど遅れてしまった私。

「電車が遅延しててね」と話している最中に、


チッ


成希に、盛大に舌打ちをされた。



『次はナイからな』

『ご……、ごめんなさい』



その時は「謝らなくちゃ」って思いでいっぱいで。この人から逃げた方が良いって発想には至らなくて。


そして――


そんな事を何度も繰り返して、半年。

私は尚も、逃げる機会を失っている。
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