愛毒が溶けたら


【俺の事は、気にするな】


そんな意味深な文章。

だけど晩ご飯の準備を手伝ったり、夏海の世話を手伝ったりと。バタバタしていて、メールに気付いたのは――夜遅くだった。


「十一時か……。もう寝てるよね。色々聞きたいことがあるけど、仕方ない。明日、直接話せばいっか」


気にするなって、何をだろう。夏海を見て、血相を変えたこと? でも……気にするなって言う方が、無理だよね。


「まぁ勇運くんは優しいから、大丈夫。きっと話してくれるよ」


なんて。安心して眠った――翌日。

あっという間に一日が終わり、今は放課後。

そして……驚くことなかれ。勇運くんとは、全く話せてない。


「あ、莉音ちゃん! 勇運くん見なかった?」

「勇運くんなら、ホラあそこ」

「え?」


あそこ――と言って莉音ちゃんが指さしたのは、校門。なんと勇運くんは、私の目をかいくぐって早々に帰っていた。
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