愛毒が溶けたら

――あ、悪い……。俺、帰る
――俺の事は、気にするな


「無理だよ、勇運くん……」


そんな事いわれたら、もっと気になるに決まってるじゃん。

昨日のお礼も言いたいし、もしも勇運くんが悩んでる事があるなら……助けてあげたい。


「微力ながら……っていうか、無力かもしれないけど」


でも私、今まで勇運くんに、たくさん助けてもらったもん。

だから、今度は私の番。

勇運くんが遠慮なく、何でも吐き出してくれると嬉しいな。


「って、もう逃げられたんだよね……。仕方ない。また今度かぁ」

「さっきから、何を一人でブツブツ言ってるの?」

「莉音ちゃん……私、がんばる!」

「明日が土曜日でも?」

「へ?」


ムンッと意気込んだ、のはいいけれど。莉音ちゃんの言葉で、我に返る。

カレンダーを見ると、明日は、確かに土曜日。学校は……休み。


「リベンジは月曜日だね、冬音」

「うぅ。本当、私って……」


そして、何の収穫もないまま金曜日が終わる。

あと二日、モヤモヤした気持ちで過ごさないといけないなんて……。あーぁ、早く月曜日にならないかなぁ。
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