愛毒が溶けたら





そのモヤモヤは、翌朝の土曜日も変わらなかった。

せっかくの休日だから、パーッと遊びたいけど……そんな気分になれない。


「お散歩でもしようかな」


家の窓から外を見ると、眩しいくらいの太陽が照り付けていた。

一月の気温は寒いけど……。お日様の下を歩くのは、きっと気持ちがいいはず。


「お母さん、ちょっと散歩に行ってくるー」

「――え?」


その時、お母さんの顔が引きつった。ピシッと、まるで岩みたいに固まっている。


「ど、どうしたの?」

「ダメよ、外になんか絶対に出ちゃダメ。一人でしょう?」

「えっと……一人、じゃないよ?」


お母さんの心配性に、何やら拍車がかかっている。

本当は一人で行く予定だったけど、仕方ない――エア約束を、召喚しよう!
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